5年越しに架けられた沖縄現代美術のかけ橋

琉球新報バンクーバー特派員 奥間ひとみ

去る 6 月 3 日、 4 日と沖縄の現代美術をここバンクーバーに伝えるべく、 3 名のアーティストたちがそれぞれの作品を披露した。

伊江隆人(いえ りゅうじん) 1947 年生まれ 那覇出身

前田比呂也(まえだ ひろや) 1961 年生まれ 那覇出身

花城郁子(はなしろ いくこ) 1961 年生まれ 沖縄市出身

3 名がバンクーバーへ来ることになったのは、 5 年前の沖縄サミットまでさかのぼる。 かねてよりアジアのアートに興味を示しアジア各国を駆け巡っていた、バンクーバー在住のハンク・ブル氏が沖縄の文化や生活に感動し、「沖縄の伝統に深く関わっているアーティストをカナダに招待したい。」と願ったのがきっかけである。 のちに上の 3 名が選ばれ、センター A ( Vancouver International Centre for Contemporary Asian Art )の主催と、バンクーバー市ほか 3 団体の後援により開催された。 沖縄で平成 19 年秋、那覇市に沖縄県立現代美術館(仮称)が開設される予定で、その学芸員を前田氏が勤めることになっている。 

同じくバンクーバーでもブル氏が新しいギャラリースペースを探していた事などから話しは進みこの日を迎えた。 展示会のタイトルは沖縄もカナダもいろんな人種や文化等が入り混じった場所であることから「ちゃんぶるー」と決まった。

初日の 6 月 3 日、バンクーバー市内のセンター A に於いてオープニングを開催。 入り口のドアには墨で大きく「ちゃんぷるー」と書かれ、道行く人の目を引き付ける。 約 150 坪の広い展示会場の壁や床に、3名の幻想的な世界が表現された。 伊江氏の琉歌を含む墨の世界。 前田氏のサンゴの破片をパネルに付け漆で仕上げた「トートーメーの世界」。 花城氏のかやの中に創られた「あの世とこの世を結ぶ世界」。 天井も壁も一面真っ白な会場に、まるで時間の流れが変わったかのような不思議な空間が創られていた。

オープニングは前田氏の息子さん彬(あき)くん 15 歳の空手演武から始まり、次に 8 メートル四方の大きな布に伊江氏が「太陽と花」を中央に描いた後、その周りに観客がそれぞれの想いを日本語や英語、または絵にして埋め尽くした。

まさに「ちゃんぷるー」の作品となった。 訪れた人々の中には自らの心の中にある大切なものを 3 人の作品の中に見つけたかのように、自分の経験を話したりいつまでも質問したりしていた。

翌日のシンポジウムはバンクーバー市内のバンクーバー日本語学校で開催された。前田氏より沖縄の新しい美術館の構想についての話が行われた後、 3 名がそれぞれのアートについて説明し、参加者より質疑応答が行われた。 昼からバンクーバー沖縄県友愛会有志が持ち寄った手作りの沖縄料理試食会が行われた後、同会会員による三味線や太鼓の演奏と琉球舞踊、民謡やパーランクーの演舞などが催された。 最後は伊江氏が沖縄の植物である「あだん」の幹を石で砕いて筆の作り方を指導し、参加者が同じように作った筆を使って新聞紙に思い思いの絵や文字を描いた。 それぞれが筆や作品を大切そうに持ち帰る姿が印象的であった。

人種や言語の違いを超え、自然への慈しみと人類愛に満ちた 2 日間は大盛況のうちに閉会した。

なお 3 名のアートは 6 月 25 日までセンター A で展示される。


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